私は、万年筆初心者です。
万年筆使用歴うん十年でもなければ、万年筆のプロでもなく、文房具屋の店員でもないです。
そんな初心者の私ですが「もし万年筆を初めて使いたいって人がいたら、これをオススメしたいな」と思える一本があるんです。
この記事では、最初の一本におすすめしたい万年筆「カクノ」の中字について、あえて万年筆に詳しくない人間の目線で解説します。
あくまで初心者なので、有識者の方が見たら首をひねるようなことも書いちゃっているかもしれません。
よほど大きなミスでなければ、寛大な心で見逃していただけるとありがたいです。
初心者が考える「万年筆の良さ」
まずは、ボールペンが一般的に使われている社会の中で、あえて万年筆を使う「良さ」をご紹介します。
- 見た目がかっこいい
- 筆圧ほぼゼロで書ける
- たくさん書いても疲れにくい
- 使っていくうちに自分に合ってくる
- インクの濃淡
- インクが違う色に光るときがある
- ペン先の触感
- 万年筆を使うことで感じる満足感
etc…
なぜ最初にメリットを挙げたのかというと、この「万年筆の良さ」が「万年筆らしさ」でもあるからです。
最初の一本にカクノの中字をすすめる理由
私は、万年筆の最初の一本に「カクノ」の中字をおすすめしたいと考えています。
「中字」とは、万年筆のペン先の太さの種類のひとつで、カクノの中では太いペン先です。
なぜカクノの中字をすすめるのかというと、低価格で万年筆ならではの良さ・万年筆の楽しさを感じられるからです。
少しやわらかい書き心地
安い万年筆は基本的にペン先がカチカチのステンレスで作られていて、高い万年筆はペン先が柔らかい金で作られていることが多いです。
ステンレス製の万年筆を今までに何本か使ったことがあるのですが、私が使った中ではカクノが一番書きやすいと感じました。
技術的な理由は全く分からないのですが、カクノの中でも中字は、万年筆独特のぬるぬるした書き味を楽しめるうえに、ステンレスなのにペン先が少しやわらかく感じるんです。
万年筆ひとつひとつの個体差もあるかもしれませんが、インクがかすれたり出にくくなることも無く、使っていてとても快適です。
なので、他のステンレス製の万年筆を使って「なんか書きにくいな……」とあきらめた方にも、カクノの中字をぜひ試してほしいです。
低価格で試せる
金ペン先の高級万年筆を最初から購入するという手もありますが、高いお金で買ったものが「なんか違う……」となったら悲しいと思うんですよね。
低価格でそこそこな書き味のカクノをとりあえず買って、万年筆の特徴を知る……ハマったら高級万年筆に……とステップアップするのはどうでしょうか?
インクの濃淡
私が特に万年筆を使っていて「万年筆だからこそ楽しいな」と感じている点は、主にインクとの関係性にあります。
万年筆で字を書くと、ボールペンより濃淡が生まれやすいです。
この濃淡はペン先が太めの万年筆で、インクが多く出るときに起きやすいな……と初心者なりに感じています。
私は万年筆を使ったあと、この濃淡を見て楽しむタイプの万年筆好きです。
カクノの中字なら、低価格でこの濃淡を体感することができますよ。
透明軸なら可愛すぎない
カクノは老若男女が使えるように可愛いデザインになっているのですが、透明軸なら少し可愛さが緩和されるので、男性にもぜひ使ってみてほしいです。
クリップはありませんが、カクノに取り付けられるクリップが別売りされています。
クリップの取り付け方については「万年筆カクノにクリップを付けてペンホルダーや胸ポケットに差す方法」で解説していますので、ぜひ読んでみてください。
カクノをより楽しむために
ここからはカクノに興味を持ってくださった方のために、カクノをもっと楽しめる方法や、注意しなければいけないことについてお話します。
万年筆は紙を選ぶ
万年筆のインクは、ノートや手帳によっては裏にインクが抜けてしまいます。
万年筆やインクの種類によっては抜けないかもしれませんが、私が持っているカクノの中字はインクがドバドバ出るので、裏抜けする可能性が高いです。
あなたが現在お使いになっている手帳やノートと、万年筆との相性がいいとは限りませんので、相性を考えて手帳・ノートを選ぶ必要があります。
おすすめの紙
逆にいうと、万年筆に合う紙も複数あります。
個人的におすすめなのは、トモエリバーが使われている手帳やノートです。
裏に抜けないのはもちろんですが「シーニング」や「レッドフラッシュ」などと呼ばれる、インクの一部が金属のように光る現象が起きやすいのが、トモエリバーの特徴です。
この現象は、インクや紙の性質などによって出やすさが変わります。
私と同じようにこの現象を見てみたい方は、ぜひトモエリバーが使われている手帳・ノートなどで万年筆を試してみてください。
手帳だとほぼ日手帳、ノートだとSAKAEテクニカルペーパーのノートなんかが有名だと思います。
その中でも私が使っている手帳「ほぼ日手帳day-free(デイフリー)」については「ほぼ日手帳挫折者がday-free(デイフリー)を買った理由【2020年レビュー】」で解説しています。
コンバーターに好きなインクを入れよう
万年筆へのインクの入れ方はカートリッジ、コンバーターの2つが基本です。
カートリッジはペン先のうしろに差すだけで使えるので便利ですが、カクノ用に作られているものしか選べないため、種類が限られます。
しかしコンバーターを用意すれば、数多くのメーカーから販売されている沢山の万年筆用インクの中から、好きなものを選んで使えるんです。
カクノで使えるコンバーター
カクノでは、PILOTのCON-40というコンバーターが使えます。
また、先ほどからご紹介している後発商品の透明軸のカクノであれば、CON-70というインクがもっと多く入るコンバーターを確実に使えます。
カクノはいつかのマイナーチェンジで、以前は使えなかったCON-70がいつの間にか使えるようになっていた……という経緯があるらしいんです。
もし文房具屋さんでマイナーチェンジ前のカクノを買ってしまった場合、用意したCON-70が使えない……というトラブルが起きるかもしれません。
透明軸じゃないカクノを購入するのであれば、CON-40を購入するのが無難でしょう。
コンバーターの使い方は、パイロット公式の動画がわかりやすいです。
おすすめインク
インクに関しては好みが分かれるので、一概には言いにくいのですが……。
私のようにビジネスの場では使わない方で、さらにシーニングを見たいのであれば、セーラーの四季織というシリーズの「山鳥」がおすすめです。
もしカートリッジインクがお好みでしたら、ブルーブラックを使うとシーニングが見られることがありますよ。
インクを替えるときは水で洗う
インクを別のものに替えるときは、カートリッジでもコンバーターでもまず洗浄が必要です。
洗わないと、前のインクの色と新しいインクの色が混ざって出てきちゃいますし、インク同士が化学反応を起こしてしまうかもしれないんです。
洗うのに特別な道具は必要ないですが、水洗い→乾かすという過程が必要なので、一晩は待たなければいけません。
洗い方については、パイロット公式サイトの「万年筆のお手入れ方法(洗い方)を教えてください。 | よくあるご質問 | PILOT」を参考にしてください。
中字はそこそこ太い
私がおすすめしている「中字」という太さ……そこそこ太いです。
ボールペンでいうと0.5~1.0mmくらいあるかもしれません。
なので中字を使う場合は、小さな方眼に細かく書き込んでいくというのは難しいです。
ほぼ日手帳やジブン手帳などの小さな方眼には、2行にまたいで書くなどの工夫が必要になりそうです。
ちなみに、カクノには細字や極細字という種類もありますが、そちらは書き心地が全然違います。
万年筆のペン先は、細いとカリカリとした書き味になるんです。
中字以上で味わえる濃淡やぬるぬるとした書き心地は、細字になると味わいにくい物なので、どちらが自分にとって重要かを考えて太さを選んでください。
にに
カクノは安いので、いっそ中字と極細字の両方を買って試すというのもアリかもしれませんね!
放置するとインクが出なくなる
万年筆を使う上で最低限知っておいてほしいのが、インクの乾きについてです。
万年筆は放置するとインクが中で乾いて、インクが出にくくなったり、全く出なくなったりします。
インクの乾きを防ぐには、インクを入れた状態で使わないまま放置しないことが重要です。
毎日ほんのちょっとずつでも何かを書くのに使えば、インクが乾くことはありません。
もし出なくなってしまった場合は、公式サイトの「万年筆のお手入れ方法(洗い方)を教えてください。 | よくあるご質問 | PILOT」をお手本にして水で洗いましょう。
まとめ:カクノで万年筆デビューしよう
最後に、万年筆を使う前に知っておいてほしい要点をまとめます。
- カクノの中字は低価格で万年筆の醍醐味を楽しめる
- カクノの中でも中字は、ステンレスなのに少し柔らかい書き味
- 中字はインクの濃淡が楽しみやすく、万年筆独特のぬるぬるとした書き心地
- 細字は細かく書き込めて、カリカリした書き心地
- 万年筆と相性のいい紙・悪い紙がある
- カートリッジインクは差すだけで簡単に使えて便利
- コンバーターを使えば、たくさんの種類のインクを楽しめる
- インクを替える前に必ず水で洗う
- インクを入れたまま使わず放置すると、インクが出なくなる
- インクが出なくなったら水で洗う
これだけ知っていれば、あなたも万年筆を使えるはずです。
ぜひカクノから、万年筆への最初の一歩を踏み出してみてくださいね。
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